1981--1986

沖縄の渡嘉敷島で見つけた夜光貝。サザエと較べてもその巨大さにはビックリ。
このページに掲載した作品は私が30代前半に写真の勉強を始めたころに撮影したのものです。
高島炭鉱で働くようになって、仕事をするために地底へ潜り、その仕事を終えると 撮影のために海へ潜るという生活を約5年間続けました。 子供の頃から海ではよく泳いでいましたが、それまではせいぜい2−3mまでしか 潜っていませんでした。それでも潜っていると所々でカラフルな生物を発見することがあり、 何時しかグラビア写真で見るような美しい海中写真を撮れるようになりたいと思うように なっていました。

水中写真を始めた時は写真の知識が全く無く、写真を勉強する方法は勿論、 機材選びやフィルム選びをするための知識さえありませんでした。 始めは110型の機材を購入しましたが、撮影出来る範囲が狭いことや、 フィルムサイズが小さいこと、水深5メートルまでしか使用出来ないこと、 そして、内臓ストロボを使って撮影すると全く面白みの無い写真が出来上がるなどの 問題に気付き、早々に水中撮影専用カメラを購入するはめになりました。

水中撮影の場合は水中の細かい浮遊物や濁りの影響を受けやすいという問題が有り、 影響を少なくする為に被写体へ出来るだけ接近する必要がありました。 レンズは15ミリと28ミリを使うようになり、以前よりはましなものが撮れる ようになりました。

水中撮影をスタートして初めの1年間はフラッシュも使わず、フィルムはネガフィルムを 使っていました。水中写真を紹介する雑誌の中にKRとかERの文字をみても当時はそれが 何を意味しているのか分かりませんでした。それがリバーサルフィルムを意味している ことが分かってからは早速リバーサルフィルムを使うようになりました。

リバーサルフィルムを使うようになって気付いたのは海水がブルーフィルターに なってしまうということでした。肉眼ではカラフルに見えても、わずか1メートル 潜っただけでカラフルな被写体も青っぽく写ってしまうのです。 このため水中撮影ではストロボなどの人工光が必要で、しかも被写体に近い位置から 発光させることが被写体のカラフルな色を写し撮るための一つの条件だと分かりました。 いわゆる日中シンクロで撮影すること、リバーサルフィルムを使うこと、 広角レンズを使うこと、可能な限り被写体に寄って撮ることがポイントだと分かりました。

ここまで分かると後は被写体までの距離、絞りなどのデーターを取得分析することで 露出条件を割り出すだけでよく、その後、露出や色に関しては安定した撮影が出来る ようになって行きました。潜る深さも5m、7m、10m、13m、17m、20mと 次第に深くなり、探索出来る範囲も広くなって行きました。

素潜りでの撮影では、潜る深さも20mが限界で、潜水時間はせいぜい1分間。 被写体にレンズを向けていられる時間は更に短くなり、深さにもよりますが、 せいぜい20秒前後でした。このため、被写体を見つけてから距離や絞りを合わせて いては撮影出来ず、一旦浮上し、海面で設定を終えてから潜り直すということを 繰り返して撮影しました。

掲載された写真だけを見ていると、高島の海の中はどこを潜ってもカラフルな被写体に 遭遇出来ると思われるかも知れませんが、実際はその逆で、絵になる被写体を見つけ出す ことは一苦労でした。しかし、何も無いように見える海の中で被写体を探す作業は宝捜し にも似た楽しさ、わくわく感がありました。

約5年間、高島の海の中を撮影しましたが、一旦海に入ると2-3時間は浸かったままで、 1.5-2km程度の距離は普通に泳いでいました。時にはナイトダイビングを行ったり、 時化た日や真冬にも潜り、数は少ないもののモルディブやサイパン、沖縄にも行って 水中写真を撮っていました。

私の写真のスタートは水中写真でしたが、約5年間真剣に取り組んだ お陰で基本的な撮影技術を身に付けることが出来ました。また、海そのものや海中の 状況もしっかり観察していたので、荒れた日や暗闇でも海中の様子が想像出来、 高島から軍艦島まで泳ぐことも恐怖感無しに実行することが出来ました。



IKESIMA 00 GUNKANJIMA 00 TAKASIMA